エメラルドグリーンの大きな目の少女たち。10代前半だろうか。着物を色っぽく着ているものの、表情はみなあどけない。
アクリル絵の具を使い、繊細な線で描写。白い色を背景に鮮やかに浮き立ち、いまにも動き出しそう。キャンバスも個性的で5〜10センチほどの厚みがある。
パネルをふとんや綿布で包み、厚みを出した作家オリジナルの”ふとんキャンバス”で、床に置かれたり、壁に掛けられたり。しかも四角ではない有機的な形。お香から立ちのぼる煙の一瞬の形をイメージしたという。消えてしまった残像と、少女のか細さとが相まって、はかなさが強調される。
展示も凝っていて、床にはコンクリートで石のように作った平たい緑色の物見石が数個置かれた。高さは10センチほどだが、そこに乗って絵をみると見え方も違ってくる。
杉の木で作られた巨大な樽(たる)も設置。高さ2・2メートル、直径2・6メートルで、内部の杉板にも様式化した梅の花などとともに少女が描かれている。中に入り戸を閉じれば、密室で少女と対峙(たいじ)するという趣向だ。山口藍(あい)は昭和52年東京生まれ。女子美術大学卒後、海外でも発表している。3月13日まで。(和)
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